2017年3月12日日曜日

小さい政府は高くつく

 政府の規制改革推進会議は9日、『労働基準監督官の業務の一部を民間委託するよう』提言する検討に入ったと新聞が報じた。
 労働基準監督官は「労働Gメン」とも呼ばれる国家公務員の専門職で、労働基準法等に基づいて企業を監督・指導し、違反者を逮捕、送検する司法警察官の権限を持つ。
 全国に約3,200人いるが、国際労働機関(ILO)の基準でいえば充足率は6割強といったところ。しかも、労働基準行政では元々「労働技官」や「労働事務官」が担っていた安全衛生業務や労災補償業務も担当しているので、人員不足は明白な事実。
 ならば、対処の方法は明らかで、現下の課題である過労死、過労自殺など長時間労働の監視機能を強めるなら、労働基準監督官の定員を増やせばいいだけのことである。
 同時に、労働基準行政の「技官」や「事務官」を増員して、その部門に従事している労働基準監督官を本来業務に充てればいいのである。
 つまり、民間委託は、見かけの「充実」で労働基準監督行政の本質を歪めようとする悪政に他ならない。
 民間委託されたとすると、企業の顧問をしたりしている社会保険労務士が企業を監督するのである。
 電力会社社員が原発の安全を検査するのと同じことだ。
 社会保険労務士が悪いわけではない。
 行政体制の充実が必要なら労働基準監督官試験を経て採用すればよいだけのことである。
 小さい政府だとか身を切る改革などという者ほど胡散臭いものはない。

   水送る若狭を守れ原発忌

3 件のコメント:

  1.  二月堂の下の「お水取り」の井戸は別名「若狭井」。若狭の遠敷明神(おにゅうみょうじん)が若狭から「お水送り」をした聖水が二月堂に届くとされている。お水送りの行事は今も行われている。
    そういう若狭が「原発銀座」になっているのを悲しんで一首即興で詠んでみたが、「梅雨空に九条守れの女性デモ」に引かれてあのようにしたが、『水送る若狭は痛し原発忌』の方が良いだろうか。

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  2. やはり「守れ」の方が優しく、力がこもっていると思います。
    話は少しそれますが「若狭井」は「閼伽井」(あかい)とも呼ばれるそうですが「閼伽」(あか)とは仏語で仏さまに備える水の事だそうです。落語「ぞろぞろ」に出てくる赤手拭い稲荷の赤手拭いも本当は「垢」汚れた茶色の手拭いの事です。この「垢」は仏教用語では煩悩の事で何となく仏教つながりのように感じますが関係ないか!飛躍しすぎました、失礼。

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  3.  句評ありがとうございます。それから仏教の豆知識は参考になります。
     修二会でいえば「神名帳」つまり全国の神々の名が呼ばれるわけで、そういうどっぷりの神仏習合が私は好きです。

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