2016年12月1日木曜日

本丸はISDS

「TPPの本質はISDSだ」バーニー・サンダース
   自公維が強行した会期延長の結果、TPP承認案が成立する可能性が非常に高まった。関連法案は自然成立しないから参議院での攻防がある。

 それにしても、トランプ氏の当選によって発効する可能性のないTPPを強行する自公維は狂気の沙汰だ。
 トランプ氏は、一連の発言からみて、今後強力な2国間協議を迫るだろう。
 そのときに、今回TPP承認という国会決議をしておくならば、このTPPの水準が出発点にされ更なる譲歩を迫られるのは火を見るよりも明らかだから、現与党には独立国のリーダーとしての外交力、そのセンスがゼロだと私は思う。

 そしてそのTPPだが、その本丸がISDS条項だと私は思うのだが、新聞やテレビはほとんどそのことに触れないのにはがっかりする。いや、本丸であるからこそ触れないのだろう。
 ISDS条項というのは、多国籍企業がTPP締結国の国家や自治体を訴えることができる条項で、多額の賠償金を課すことができる。
 その裁判所、裁判官は多国籍企業が担うのである。

 同様の条項で各地で行われた事実を見ると・・・・
 ウルグアイが子どもたちの喫煙を禁止して健康を守る法律を制定したところ、フィリップス・モリス社はウルグアイ政府に高額の賠償を求めた。「我々が子どもたちにタバコを吸わせて金儲けをするのを妨害した」と。

 エジプトが労働法を改正して最低賃金を引き上げたところ、フランスの廃棄物処理会社ヴェオリア社がエジプト政府に1億1千万ドルの賠償を求めた。「エジプト労働者の生活改善は多国籍企業の利益を損なう悪行だ」と。

 スウェーデンの電力会社バッテンフォール社は原発廃止を決めたドイツ政府に50億ドルの賠償を求めている。

 この種のISDS条項を、日本発の多国籍企業は東南アジアやインドやメキシコに対して持っておきたいのだ。

 こうなれば、自治体や政府の上に多国籍企業が君臨することになる。
 国民が民主主義的な討議によって環境基準を定めたり、健康のために薬物を規制したり、国営の健康保険制度を充実したり労働法を改正したりすれば、それらはたちまち多国籍企業のほしいままの利益の障害になるとして賠償させられ、そういう制度を無効にさせられるのである。
 これは単に経済の問題ではなく、各国の民主主義、民主政治を踏みにじるものである。

 トランプ氏の「おかげ」で、TPPが即時発効することは遠のいた。
 なので、このISDS条項の大問題点をもっともっと広く広める必要があるように考える。
 訳も分からず「グローバル化に乗り遅れるな」的な脅迫に踊らされてはならない。

     顔なしに国すべて売るTPP

1 件のコメント:

  1.  真面目に行政民主化を追求している公務員労働者は、TPPのISDS条項で行政の各分野がどのように歪められるのかということを発表してほしいものです。
     TPPは米農家だけの問題でないのに感覚が鈍い気がしないでもありません。

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