2016年12月7日水曜日

暴走内閣の矛盾

 TPPや年金削減法案の強行採決に続いてカジノ法案まで強行採決という政治を見せつけられると、正直なところ絶対少数の無力感を感じる。
 そんな中、右翼組織日本会議をバックボーンとする暴走安倍首相が、今度は真珠湾でオバマ大統領とともに犠牲者を慰霊するという。
 この見かけ上のギャップは何だろう。
 
 私は感覚的に、「私が安倍首相なら1月総選挙だ」と言ってきたが、そこへ向けての必死のイメージづくりのような気がしてならない。

 アベノミクスの大失敗は誰の目にも明らかになった。中心中の中心人物黒田日銀総裁自身が認めている。
 財政も、リーマンショック直後の2009年度以来7年ぶりに年度途中で赤字国債を発行しなければならなくなった。
 TPPや年金法案の悪法ぶりは日増しに広がっている。
 カジノ法案に至っては、すべての商業新聞が批判している。

 だからこの先、経済のイメージ、他国の悪口だけで保ってきた内閣支持率が高止まりするはずがない。
 一番の忠犬ぶりを担ってきた籾井NHK会長の再選も閉ざされたようだ。
 なので必死で「頼りになるリーダー」のイメージを作ろうと外交の大常識を踏み外してトランプ氏に一番乗りをしたが、これはアメリカ政府から強く叱られた上に、トランプ氏にも「TPPは離脱する」と歯牙にもかけられなかった。
 プーチン氏には択捉、国後を放棄してでも小さな2島返還の感触だけでも匂わせてもらって話題を作ろうとしたが、一般新聞ですらがすでに失敗を見込んでいる。
 そこで最後のイメージ戦略が真珠湾慰霊ではないのか。

 そもそもそれは日本政府の発意でもなく、アメリカの外交問題評議会(CFR)が発行する隔月発行雑誌フォーリン・アフェアーズ・リポートが6月に日本政府に勧めていた行動だし、そこに乗ってトランプ詣で叱られたことへの謝罪というのが本質なのだろうが、統制されたメディアによって見かけは前向きに華々しく報道されることだろう。

 「自虐史観の見直し」と「天皇退位反対」が首相の本心だろうが、選挙のためならどんな嘘でもつく男である。国会で、「自民党は強行採決など考えたこともなければしたこともない」としゃあしゃあと言ってのけたことは記憶に新しい。
 真珠湾奇襲は謝罪せず、憲法解釈は変更し、駆けつけ警護部隊を送り出した。
 その口で「慰霊と平和」を口にするのである。

 唯一安倍首相にとって今ありがたいことは、野党第一党蓮舫・野田民進党の野党共闘への消極姿勢と、面舵いっぱい誘導する連合だろう。
 だから、野党共闘の整わない間に解散総選挙と企んでいると私は推測する。
 と考えると、先に書いた「年度途中赤字国債」も選挙用のバラマキだという底意が見えてくる。

 本来は、日本の首相が真珠湾に行くことは良いことだろうが、マスコミのムードに流されずにその本質を見つめたい。
 暴走内閣は強さの表れではなく、どうしようもない「行き詰まり」の結果であろう。


 谷町筋の谷町8丁目に近松門左衛門の墓がある。
 ビルとガソリンスタンドに挟まれた小さな入口の奥である。
 あまりよくは知らないが、武士社会の行き詰まりと、登場した貨幣経済の、ある種残酷さを感じながら書かれた故にその戯曲は当時の庶民から大きな喝采を得たのではなかろうか。

 現代大阪に二重写しを思うのは穿ち過ぎだろうか。
 大阪市内の公明党代議士3名はカジノ法に賛成した。

    まねき無き門左の墓にも師走かな


 

1 件のコメント:

  1.  公明党の大阪の選挙区選出代議士3名に加えて比例選出の大阪府本部副代表の2名も賛成していました。大阪公明党は全員が維新に「対立候補を立てるぞ」と脅かされ多のでしょう「賛成」です。

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